卵子について① 卵胞ってなに??
いままで精子調整や精子検査など精子についてばかりの更新でしたので、今回から卵に関するお話をしていきます。培養室では、卵子を受精させたり、受精卵を培養・観察したり、胚(受精卵)を凍結したり、卵子に関して多くの作業を行っています。1つ1つ、培養士がどんなことをしているのか具体的にお話しする予定ですが、その前に、そもそも卵子ってどんなもの?ということを複数回に分けて説明したいと思います。1回目の今回は卵子が存在する卵巣についてお話ししていきます。
卵子は卵巣にあって、そこから排卵されたものが卵管にキャッチされ、卵管内で精子と受精する。ということはみなさんご存知のことかと思います。では排卵される前、卵子は卵巣の中でどのように存在しているかというと、卵子単独ではなく数種類の体細胞に囲まれた状態で存在しています。この卵子と、それを取り囲む体細胞はまとめて「卵胞」とよばれ、卵巣は多数の卵胞によって構成されています。
“多数”といいましたが、具体的には生まれたばかりの赤ちゃんの卵巣には約200万個の卵胞があるとされています。さらにもっとさかのぼって、まだ母親のおなかの中にいる胎児は、ピーク時には約700万個もの卵子をもっているとされています。こんなにたくさんあった卵胞ですが、ほとんどはなくなっていってしまい、思春期には20~30万個になります。
それでも“排卵される卵子は1周期につき1個だし十分な数では??”という気がするかもしれません。しかし排卵されたものだけではなく、卵胞は卵巣の中で日々なくなっているのです。月経が始まると1周期で約1000個もの卵胞がなくなっているとされています。
また、「細胞」と聞くと細胞分裂してどんどん増えていくイメージがあるかもしれません。しかし卵子は卵巣内で分裂して数が増えたり、新しい卵子ができたりはしません。新しくつくられないために、老化などによる卵子の質の低下ということが問題になってくるのですね。