多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)は、卵巣に発育途中の卵胞が多数存在し、月経周期異常や排卵障害を伴うもので、不妊の原因になります。原因ははっきりと分かっていません。
PCOSは、脳から出る2種類の女性ホルモン「LH」と「FSH」のバランスが崩れること、また男性ホルモンが高い傾向にあります。これらのホルモンの状態により排卵がうまくいかないと考えられます。
PCOSは糖尿病と関連性があることがわかっています。糖尿病の治療で用いるメトホルミンという薬は、排卵誘発剤と併用することで、インスリン抵抗性を改善し、PCOSの排卵誘発に有効であるといわれています。
子宮内膜症
子宮内膜は子宮内部に存在する細胞のことで、本来子宮の中にしか存在しません。しかし、何かしらの原因により子宮外(卵巣、筋肉内、ダグラス窩、腸の表面、腹膜など)に出来てしまうことがあり、これを子宮内膜症といいます。月経時に異所性の子宮内膜もはがれ出血し、癒着を起こします。悪化すると月経痛や不妊の原因となり、まれに癌化することが報告されています。
子宮筋腫
子宮は筋肉でできており、そこにできる腫瘍を子宮筋腫と言います。基本的には良性の疾患ですが、癌(子宮肉腫)との鑑別が必要になります。また、筋腫はできる場所により症状に違いがありますが、主に月経痛や過多月経などがあります。
甲状腺ホルモン、甲状腺抗体検査
甲状腺とは喉仏付近にある臓器で、体温調整や新陳代謝に影響するホルモンを産生しています。症状がなく、ホルモン異常もはっきりとしない潜在性甲状腺機能障害は、女性に非常に多いことが報告されています。
妊娠すると、妊娠初期に胎盤から産生されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が、甲状腺刺激作用を持つため甲状腺ホルモンの分泌量が一時的に変化します。また、妊娠により甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や甲状腺機能低下症(橋本病)といった甲状腺疾患を発症してしまうこともあります。甲状腺ホルモンは母体に影響するだけでなく、胎盤を通じ胎児の生育に影響している可能性があると報告されています。そのため妊娠前に甲状腺の検査を行います。