神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

卵子の質ってなに?? ①

培養部 培養部―卵・胚について

不妊治療をされている方、妊活をされている方はよく“卵子の質”という言葉をお聞きになると思います。培養士から患者様への説明の際にも、関連した質問が多いように感じますので、数回にわたり卵子の質についてのお話をしていきます。

自然周期の場合→1つの周期で排卵されるのは1つの卵胞だけになるよう体内でコントロールされている!選ばれたその卵胞は主席卵胞と呼ばれて発育が進むが、他の卵胞は発育停止する!!…と、ざっくりこのようなお話を以前しました。こう聞くと “排卵される卵胞は数ある中から選ばれたものだから、きっと質の良いものなのだろう!!”と感じられるかもしれません。

しかし結論からいいますと、排卵される卵胞(主席卵胞)=他より質の良いもの、ということはいえません。“選ばれた卵胞”が主席卵胞になるといいましても、それは質で選択されているわけではありません。卵巣には様々な発育段階の卵胞が存在していますが、その中からそのときの周期に合ったタイミングで発育しているものが1つ選択されるのです。たまたまタイミングが合った卵胞が選択されている、ということになりますね。

さらに卵子の質は1つ1つ大きな差があり、同じ女性のものでもとてもばらつきがあるものなのです。妊娠・出産につながるためには、受精する能力・成長する能力・正常な染色体をもっているか、といったことが卵子に求められますが、残念ながらこれらをもたない卵も多数存在します。たまたまタイミングが合って排卵された卵子が、正常な染色体をもっていないということも十分ありえるのです。

ご自分で基礎体温を測って、あるいはクリニックに通って採卵日を予測し、タイミングをとっている方の中には“しっかりタイミングをとったはずなのにまた妊娠しなかった!卵が悪いのかな、この先もずっとだめかもしれない…”と思い悩んでしまう方もいらっしゃるかと思います。最近排卵された卵子はもしかしたら質がよくなかったのかもしれませんが、だからといって卵巣に残っているたまごもすべてだめだ…ということにはなりません。質の良い卵がちゃんと卵巣には残っている可能性はあります。

卵子の質ばかりが原因とはかぎりませんので、妊娠できる力を持つ卵が排卵されていても、精子や卵管、子宮内膜、ホルモン分泌などに問題があれば自然妊娠が難しいこともあります。ご自分でタイミングをとってもなかなか妊娠しないカップルの方は、お近くのクリニックでとりあえず検査だけでも受けてみると、卵子の質ではないところに原因がみつかるかもしれません。〇〇産婦人科・〇〇レディースクリニック…と聞くと男性の方は行きづらいな・・・というお気持ちはあると思いますが、不妊の原因に男性が関係している割合は全体の半数といわれています。女性だけの問題ではなく、おふたりの事として考えてご一緒にクリニックに行かれることをおすすめします。

 

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