神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

卵子の質ってなに?? ②

培養部 培養部―卵・胚について

前回の更新をまとめますと…

①排卵される卵胞(卵子)は質で選ばれていない

②“卵子の質”は同じ女性のものでも1つ1つとてもばらつきがある

→毎回毎回、妊娠できる力のある質の良い卵子が必ず排卵されるわけではない

というお話をしました。ここまでは1周期に1つ排卵される自然周期の場合についてのおはなしでしたが、不妊治療において卵巣刺激・複数個採卵をした場合に置き換えても同様のことがいえます。

この場合ではまず卵巣刺激を行い、それに反応して1つ~複数の卵胞が育ちます。十分に発育したところで、排卵してしまう前に卵胞から卵子を採ります。このような場合でも、発育した卵胞から得られた卵子=卵巣内にある他の卵子より質がよい!とはいえません。

また卵子の質に関してはたとえ同じ日に採卵した卵子であっても、もちろんばらつきがあります。例えば3つ採卵できた際↓↓

卵①受精することができなかった

卵②受精はしたけれどすぐ成長が止まってしまった

卵③受精してしっかりと胚盤胞まで成長した→それを移植したら妊娠、出産までできた!

ということも、なにも珍しいことではありません。

“体外受精をしたが1つも受精できなかった…”、“受精卵が8つもあったのに成長が止まったと言われ1つも凍結(移植)ができなかった…”という方は、“また採卵してもどうせだめなのではないか…”と落ち込まれてしまうかと思います。受精や胚の発育については卵子・精子両方の要因が考えられるので、卵子の質だけの問題とはいえませんが、今回採れた卵子は受精する能力・発育する能力がない卵子だったのかもしれません。

それでも、卵子の質は採卵ごとに・卵子ごとに異なりますので、受精する卵・しっかりと成長して凍結(移植)できる卵が次の採卵でとれる可能性はあります。受精しなかった・成長しなかったのはなぜかということは不明なことも多く、確実にその原因が明らかになるとはいえません。しかし丁寧に精子側・卵子側の双方から原因を探り、できることがあれば対策を取りつつ、コツコツと採卵していくことが大事になるかと思います。

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