培養室のお仕事~検卵②~
前回は採卵について簡単に説明しましたので、つづいて検卵についてお話していきます。
検卵は、採取された卵胞液内から卵子を見つけ出して集める作業です。卵子を採取できていても、卵胞液内から回収しないと培養ができないので、見落とすことのないよう確実に慎重に培養士が作業を行っています。
それでは検卵の実際の流れを説明します。
オペ室と培養室はパスボックスという小さなトビラでつながっています。そのパスボックスを通して、シリンジに入った状態で培養士へと卵胞液が渡されます。シリンジの本数は採取した卵胞液の量によってまちまちですが、1本から10本近くなる場合もあります。採卵中、シリンジは逐一培養室に渡され、培養士がすばやく卵胞液内から卵子を回収しています。
こちらが当院のパスボックスの写真です。
卵胞液がシリンジに入ったままでは卵を探せないため、このような手のひら大のお皿に出して、顕微鏡下でくまなく探します。
卵子を発見したらピペットと呼ばれる道具を用いて、前培養のための培養液が入ったdish(お皿)に移します。前培養とは受精に向けて卵子を2~3時間培養することです。この時点で変性している(死んでしまっている)卵は培養しないので、dish に移しません。
dishにはそれぞれ名前とIDが書かれていて、卵子を移す前に培養士2人で名前の確認を徹底しています。
培養液に入れられた卵子は培養庫内にて管理されます。1つの培養庫に対し1枚のdishを保管し、dish同様に名前・IDが書かれたマグネットを培養庫のフタに貼って間違いの無いよう培養を行います。培養に用いるマグネットやdishは、曜日ごとに文字の色を変えたり、同じ苗字の方がいらっしゃるときは片方にだけ目印をつけたりと、間違いの無いよう確認を徹底しています。