神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

~学会参加レポート~ 2019 受精着床学会 ①

培養部 培養部―学会参加レポート

8月の上旬、学会に参加した当院の培養士が、感想や勉強になったことなどをまとめましたので、こちらのブログで報告いたします。培養士歴2年目のスタッフ、今回が初の学会参加になりました。

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8月2日に「第37回 日本受精着床学会総会・学術講演会」の2日目に参加してきました。

胚培養士には、生殖補助医療胚培養士という資格があります。詳しくは、2019年3月12日にブログで更新した「胚培養士ってどんなひと??」をご覧下さい。その資格試験を受験するには、日本卵子学会の関連学会に参加する必要があります。今回参加した学会は、その関連学会の1つになります。私事ではありますが2020年度の試験を受ける予定なので、臨床経験を積みながら、基礎知識も日々勉強しております。

今回の学会は東京都新宿区の京王プラザホテルで行われました。ホテルの中に何個か会場があり、会場毎に不妊治療に関する色々な分野の研究発表が行われました。

今年度に入り、私自身が卵の凍結融解を実際に行う機会が増えたこと、胚移植の練習を始めたこと、さらに当院でタイムラプスインキュベーターの使用を始めたことから、①卵の凍結融解②胚移植③タイムラプス観察について勉強してきましたので、それぞれの発表内容をお話していきます。

①卵の凍結融解について

まず、凍結・融解の手順を説明します。卵の中は液体で満たされており、そのまま凍結すると卵が損傷してしまうので、凍結をする前に、脱水させてから液体窒素内にて冷却・保存をしています。そのため凍結卵を融解した直後は、卵が収縮した状態にあります。卵を移植するまでの間に“回復培養”をすることで卵を凍結する前の状態に戻す、もしくはそれ以上の拡張を促します。

その回復培養時間の違いによる、妊娠率と回復度の関連性についての発表を聞いてきました。そちらのクリニックでは、ランダムに回復培養時間を設定した結果、回復培養時間は妊娠率に影響しないこと、回復度が早い卵において妊娠率が高いこと、回復培養時間を延長しても回復度は上昇しないとの報告でした。

当院では、回復培養時間を約4~5時間に設定していますが、融解約1時間後に卵が変性(細胞が死んでしまうこと)していないか1度確認をしています。この時、変わらず収縮状態のものもあれば、凍結前の大きさまで回復しているもの、それ以上に拡張しているものなど、まちまちです。私はこの融解約1時間後の回復度と妊娠率との関連性を調べたいと考えています。また、ごく稀に(1-2%)凍結に耐えられなかった卵は変性してしまうので、卵が変性していないか移植前に確認するために(変性してしまった卵は妊娠する可能性がない)、ある程度の回復培養時間は必要なのかと考えます。

 

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