神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

~学会参加レポート~ 2019 受精着床学会 ②

培養部 培養部―学会参加レポート

②胚移植について

胚移植後の妊娠率を上げるために、マイクロロボットを用いて胚移植を補助し、着床に適した部位に移植をしよう、という発表でした。

妊娠を成立させるためには、子宮内膜に胚盤胞が接着し、着床する必要があります。この「接着」の部分を確実にするために、磁石がついたマイクロロボットに胚を入れて、カテーテルを用いて子宮の着床好適部位にマイクロロボットを放出、腰にベルト固定した磁石によりマイクロロボットを引き寄せて保持することで、着床好適部位に留めておくことが可能になるとの発表です。

まだ試行段階のものではありましたが、アニメーション動画を用いての発表でとても分かりやすく、新しい視点からのアプローチということもあり、興味深い内容でした。

ARTの技術は1978年のIVF児の誕生から始まり、今日まで急速に発展し続けています。日本における2016年の成績では、ARTにより54110人が出生し、18人に1人がARTで生まれ、身近な技術になっています。今回の報告も含め、まだまだARTの技術の発展には期待したいですね。

ここで小休憩として、ランチョンセミナーについて触れたいと思います。ランチョンセミナーは学会のお昼休憩の時間に、食事をとりながらセミナーを聴講できます。関連企業・団体の協力により、学会の趣旨に準ずるセミナーが開催され、お弁当も配られます。

今回私が参加したのは、「今日の生殖医療における問題点を考える」というセミナーで、特に“国内外の取り違え事例”について注目しました。

晩婚化が増え、ART技術が発展する中、日本だけでなく世界的に不妊治療を行う方が増加しています。子供を希望する夫婦に、新しい家族をもつ機会を提供させていただく仕事に大変やりがいはありますが、“取り違え”という1度のミスにより患者様の人生を左右させてしまう仕事でもあります。今回のランチョンセミナーを通して、改めて日々の1つ1つの作業において確認作業を徹底して行い、患者様に安心して治療を受けてもらいたいと思いました。

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