透明帯のはたらき
培養部
培養部―卵・胚について
排卵のしくみ、卵胞について、それに関連するホルモンなどなど…卵子について今までいろいろとお話してきました。今回からは、“卵子”そのものについてお話します。
卵子はどんな構造をしているのか、受精したらどのような変化がみられるのか、といったことを説明していきます。
卵子は基本的にまんまるの球体で、ボールのような形をしています。時々、楕円形だったりもします。一番外側には“透明帯”という、卵子を守っている殻のようなものが存在しています。透明体の中に、“卵細胞”があります。この卵細胞の中に、遺伝子情報をもつ染色体などが含まれています。
この“透明帯”は精子を1つしか通過させない、大事な機能を持っています。体内での受精や、卵子にたくさんの精子をふりかける受精方法では、1つの卵子のまわりに多くの精子が泳いでいます。無防備なままだと卵子はたくさんの精子に侵入を許してしまいます。1つの卵子に複数の精子が侵入すると、多核受精・多精子受精といって正常な受精ではなくなってしまいます。
そこで透明帯が活躍します。精子が1つ侵入すると、透明帯はほかの精子が通過できないようにガード機能を発揮させるのです。これによって1つの卵にたくさんの精子が侵入することを防ぎ、正常な受精へと導きます。