神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

日本生殖医学会2019から~AIによる精子選択~

培養部 培養部ー精子について 培養部―学会参加レポート

今回の学会ではAI・人工知能関連の発表も数多くありました。私自身あまり機械系・PC等々に詳しくないのですが、、、、時代はどんどんと進んでいるのだなあ、頑張ってついていかねば…と感じました。

しかし、“AIが不妊治療にどう関わってくるの???”とイメージがわかない方もいらっしゃいますよね。そこで、③東京慈恵会医科大学産婦人科学講座  佐藤 琢磨さんらによる、“顕微授精における機械学習による良好精子選別支援の実現性検討”という発表をご紹介いたします。

 

顕微授精(ICSI)をされたことがある方は、卵に注入する精子ってどうやって選んでいるのか?と考えたことがあるかもしれません。ICSIにおいて、どの精子を用いるのかは培養士が精子の形や動きを見た上で決定しています。しかし、この選別にはハッキリとした定義はなく、培養士の個人の判断によります。そこで!!この発表では、オリンパス株式会社と協力し、“機械学習を用い自動的に良好精子を選別してくれるシステムを作ろう!”という検討をされていました。

良好な精子・そうでない精子、さまざまな精子の画像を3000例近く学習させ、“精子抽出・良好精子判別モデル”を生成したそうです。学習させたものとは別の精子画像、約2000例で検証した結果、この機械学習モデルにおける精子認識の陽性的中率は95.5%もあったとのことです。画像解析はデータの蓄積によりさらなる精度向上が期待できるようなので、今後実用化されるのでは…という技術だと感じられました。ICSIに使用する前の精子は絶えず動いているので、1つ1つじっくりと形を見比べることや、運動性の比較をすることはなかなか人間の目では難しいものがあります。

人間より機械的・自動的システムが有能な可能性のある分野が、このような技術の進化によってでてくるのですね。有用なものやまだ不安が残るものなど、様々な技術が今後出てくると思います。よく見極めて取捨選択をして、ここはAIに任せるけど、ここは培養士が行う、など判断をしていくことが求められてくると感じました。

 

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