神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

アシステッドハッチング(AHA・孵化促進法)について

培養部 培養部―卵・胚について

今回はアシステッドハッチング(AHA・孵化促進法)という技術についての説明です。卵は透明帯という柔らかい殻で覆われていますが、着床するためには胚盤胞まで成長した胚がこの透明帯から出て子宮内膜に到達する必要があります。

通常胚盤胞まで成長した胚は自らの力で拡張して透明帯を押し広げて破ります。そして再度拡張して透明帯の開口部から徐々に脱出(ハッチング・孵化)し、完全に外へ出ると着床へと進めるのです。

 

 

しかし、年齢が高い方の卵や凍結処理を行った胚ではこの透明帯が硬くなりやすいという報告もあります。また、見た目が標準より厚い透明帯の卵もあります。硬いから・厚いからと言って必ず卵が自力で脱出できないわけではありませんが、胚が透明帯から出ないことには着床は不可能となります。

そこで、移植した胚が透明帯から出られなかったということのないように、ハッチングを手助けする手段としてアシステッドハッチング(AHA・孵化促進法)を行います。

AHAにはレーザーの熱で透明帯に穴をあける若しくは切り取る、酸性の物質を使って化学的に透明帯を溶かすなどいくつかの方法があります。

当院で行っている方法は透明帯切開法といい物理的に透明帯を切開するものです。

まず胚をガラス管で固定し、細いガラスの針を透明帯と細胞の隙間に刺します。針が刺さったまま固定を外し、針とガラス管をこすり合わせて透明帯を直線状に切開していきます。

透明帯切開法は他の方法に比べて技術が必要とされていますが、当院では試験をクリアし経験を積んだ培養士が手技を行いますので、安全性に問題はありません。

 

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