災害時の対応について
先日、東日本大震災から9年を迎えました。近年も地震や台風などの災害が多く発生し、昨年は当院においても台風により臨時休診するなど、患者様に大変ご迷惑をおかけ致しました。ご協力ありがとうございました。
今回はこうした災害時の施設の対応についてお話いたします。
昨年神戸で開催された生殖医学会では、「生殖医療における危機管理」というシンポジウムの中で、生殖医療施設(不妊治療クリニック等)における災害時の対応について紹介されていました。
講演では、医療法人の責任者、培養機器メーカー、保険会社、弁護士といった様々な角度からお話を聞くことができ、医療法人の責任者の先生からは、東日本大震災を仙台で経験した際のクリニックの対応についてのご報告がありました。
また、東日本大震災・熊本地震・大阪北部地震などの地震や、九州北部豪雨などの水害を経験した培養機器メーカーの担当者からは、メーカーの立場として培養庫の転倒や機器の被害についてのご報告、その対策についてお話がありました。
上記の仙台の先生のクリニックでは東日本大震災以前から地震に対する備えや訓練が行われていたため、東日本大震災ではクリニック内の患者様、職員、および培養中の胚や精子も被害はなかったようです。しかし、他の医療機関においては、培養機器の転倒や培養中の胚等の被害も学会で報告されております。
当院においてもこうした災害から患者様の大切な胚や精子を安全に守るため
・停電時の外部電源
・胚・精子の凍結液の充分な量の在庫の確保
(停電時、外部電源を使用して培養中の胚を凍結するため)
・機器の転倒防止
・地震の揺れから胚の紛失がしにくい培養皿の使用
などを行なっております。
昨年の台風の際も鎌倉市内において停電が多くございました。当院は停電せず培養中の胚も影響ありませんでしたが、万が一に備えこうした対策を行なっております。
こうした災害は完全に防ぐことはできませんが、過去の様々な災害を教訓として当院でも日々改善し、災害への対策を進めていく予定です。