凍結胚の融解について
培養部―卵・胚について
以前に胚の凍結についてお話ししましたが、今回は凍結した胚の融解についてお話いたします。
6月から胚移植を再開したため、現在培養室では凍結胚を融解することが増えております。では、どのようにして融解しているのか、ご説明いたします。
凍結には超急速ガラス化凍結法という手法を用います。これにより、胚を保存することができます。
融解は、液体窒素中から37℃の融解液の中に胚の乗ったフィルムを直接つけ、凍った胚を溶かします。次に希釈液に胚を移動して徐々に凍結保護剤を薄めていきます。約15分かけて、この操作を行います。
融解直後は胚が収縮していることが多いです。融解胚は、凍結・融解の際に稀にダメージを受けることがあり、1~2%の割合で胚が壊れてしまうこともあります。当院では胚移植は午後1時過ぎ~2時半ごろに行われますが、胚の融解は通常、当日の8時~9時ごろに行っております。融解後に数時間培養することで、移植予定の胚が回復しているかどうか、壊れていないかどうかを確認します。回復が確認された胚は、移植可能となります。