無精子症について
培養部
培養部ー精子について
今回は、男性不妊の原因のひとつである、無精子症についてお話しします。
まず、無精子症とはなにかと言いますと、射出精液の中に精子が1つも確認できない状態を言います。では、本来いるはずの精子がいないのは何故でしょうか。
原因として2つのケースが考えられます。
その① つくられた精子が、なんらかの原因で精液中に 出て来られない。
精子は精巣でつくられ、精巣上体、精管を経由して、精液として放出されます。この経路のいずれかに、なんらかの障害があり、精子が正常の経路をたどることが出来ない場合、たとえ精液を射出できたとしても、精液中に精子を確認することはできません。このようなケースを、閉塞性無精子症と言い、無精子症の約20%がこれに該当します。
その② そもそも精子が作られていない。
こちらは、精子が通る経路は正常ですが、精子を生成する精巣がうまく機能しておらず、精子をつくることができないケースです。これは、非閉塞性無精子症と言い、無精子症の約80%がこちらに該当します。
では、なぜ精子がうまく作れないかというと、原因は大きく分けて2つ、先天性のものと後天的なものに分かれます。
先天性な原因というのは、生まれつき遺伝的な疾患があるものです。性染色体という性別を決める染色体の数が多かったり、精子の形成に欠かせない遺伝子に欠損があったりして、精子の形成を阻害します。
後天的な原因には、抗がん剤や放射線治療などによる強い刺激、精巣の炎症、また、ホルモン値の異常によるものです。これらは、精巣の機能不全を引き起こします。