PFC-FD療法が開始されます
PFC-FD療法とは
当院HP上お知らせにも記載されておりますが、「PFC-FD療法」が開始されます。
PFC-FD療法=Platelet-derived Factor Concentrate Freeze Dry(血小板由来因子濃縮物 フリーズドライ)
子宮内膜環境の改善を期待できると開発された治療法です。
血小板は止血を主機能とする血球成分で、出血した血液を凝固(かさぶた)させる働きを持ちます。ほかにも種々の機能を持っていますが、今回のPFC-FD療法の機序として言えば、血小板の持つ創傷治癒活性に焦点にあてた治療法です。
出血、つまり創傷した部位に血小板は集まり、血液を凝固・止血します。その際、創傷部位に対し治癒を促進させる成長因子を放出し、対象部位の治癒=失った細胞分の成長を促します。今回の治療法はこの「細胞の成長を促進させる因子」を血小板から取り出し、子宮内膜に働きかけさせる、という機序となっています。
そもそも子宮内膜が薄いと?
子宮内膜は胚にとってゆりかごやベッドのようなものです。着床自体に必要な最低の内膜厚として5mm から8mm までの数値が報告されています。
Endometrial thickness significantly affects clinical pregnancy and live birth rates in frozen-thawed embryo transfer cycles
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26942778/
→胚移植日の子宮内膜の厚さに応じて、3つのグループ(グループA、≤8mm、グループB、9-13 mm、グループC、≥14mm)に分け臨床妊娠率と出生率を比べた時、グループAの患者は優位に低かった。
The impact of endometrial thickness change after progesterone administration on pregnancy outcome in patients transferred with single frozen-thawed blastocyst
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31767010/
→臨床妊娠率は子宮内膜の厚さの比率の増加と比例しており、子宮内膜が増加していない患者と比較して、胚移植の日に子宮内膜が増加している患者は有意に高い臨床妊娠率を示した。
上記論文にも記述されているように、子宮内膜厚・内膜環境は妊娠出産に重要な要素の一つであり、厚さをはじめ環境を整えることが必要とされます。
PFC-FD療法を行うことで、注入された成長因子の効果によって子宮内膜が活性化し肥厚化します。よって、融解胚移植を実施可能となったり、移植した胚の着床を助ける効果が期待できます。
また、患者様ご自身の血液を使用しているため重篤な副作用はないと考えられています。アレルギーなどの心配もなく、比較的安全に行える治療です。
施術について
1.ご来院いただき、医師による問診・診察・本治療の説明を行います。その後、臨床検査(血液検査など)、子宮内膜の厚さをエコー検査します。
2.治療が適当だと判断された場合、採血を行います。
※感染症検査(HIV、B・C型肝炎、梅毒等)陽性の方は本施術を受けることができません。
お預かりした血液検体は厚生労働省認可の再生医療センターへと送られ、成長因子のみを濃縮・抽出します。(製造には3週間ほどかかります。)
3.月経周期(月経が始まった日が 1 日目)の 10 日目、12 日目に子宮内膜厚を経腟エコーで測定し、PFC-FD を子宮内に注入します。
以上が治療の流れとなります。詳しい内容が気になる方や、ご希望の方は是非お問い合わせください。